リース遠征隊とは?
映画の概要
2015年8月、急速に進行する脊髄小脳変性症の1つマチャド・ジョセフ病を持つヤコブ・リース(当時22歳)とその仲間7人が北ヨーロッパ最高峰、ノルウェーのガルフピッゲン山を登頂しました。ヤコブは車椅子に乗り、それを仲間達が押し進み、時には険しい道のりが何度もある中、車椅子を持ち上げたり、ヤコブを背負い抱えながら登頂に挑みました。この映画では、旅の計画、資金調達、準備、介助とチームで行った一連の記録が約40分の映像に収められています。
映画作成の目的
昨今、都会を離れ自然を楽しむ事や、屋外でレジャーを行うアウトドア活動が普及しています。それは、障害者にとっても同様です。一方、残念なことに障害者の中には、それが実現できないと諦める人がいる事も事実です。
この映画では、重度の障害を持つヤコブ・リースが自身の力と仲間との友情でガルフピッゲン山を登頂した記録を通し‘障害があってもアウトドア活動が行える事’‘人は他の人々とつながり、その人々の協力を引き出しながら生きていく存在である事’を伝える事を目的としています。今後、障害があっても、大胆な夢を描き、それを実現する人、介助を受ける・提供する側という関係を越えて、互いに影響しあえる仲間が増える事を期待しています。
リース遠征隊結成の背景
ヤコブと仲間は、デンマークにあるフォルケホイスコーレの1つ、エグモントホイスコーレン(以下エグモント)で出会いました。フォルケホイスコーレとは、北欧の特徴的な成人教育機関であり、17.5歳以上を対象とした全寮制の学校です。特にエグモントは、障害を持つ生徒と、その障害者が自ら選んだヘルパーが共に学び生活をするという他にはない特徴を持っています。そして、障害者のヘルプをする学生は授業中や夜遅くは学校の用意するヘルプスタッフと交代することで、ヘルプ学生自身の充実した学生生活もきちんと確保され、障害者とヘルプ学生双方が等しく学校を楽しみ、健康的に過ごせるよう配慮されていることも、重要な点です。ここでヤコブはアドベンチャーコースを選択し、授業を通しアウトドアに目覚めました。(エグモントホイスコーレンについて、詳しくはこちら)
登山計画の出発点は、ヤコブの自然の中でワイルドな経験をしたいという情熱から始まりました。話を聞いたヤコブのヘルパーである生徒や、諦める事なくできるだけ多くの経験を得ようとするヤコブに賛同した仲間が集まり、リース遠征隊となりました。そこから、計画を聞き興味を持ったプロデューサーのマティアスにより映画化の計画が始まりました。
当初、リース遠征隊の動機はヤコブ・リースのためでした。しかし、彼だけのためでなく最初から最後まで一緒に計画を立て、一緒に楽しみ、目標を実現するといった姿から、7人皆のための登山でした。無事登頂に成功した時、笑顔のヤコブを横眼に涙を流す仲間もいました。
上映&講演会について
今年の夏、デンマークキャンプで来日するリース遠征隊が映画の上映会とトークセッションを焼津にて行います。今回の上映&講演会では、リース遠征隊の母校でありヤコブとその仲間がガルフピッゲンに挑戦する背景となったエグモントホイスコーレンを、エグモントに在学中の奥山修平(DSSAプロジェクトメンバー、焼津キャンプ実行委員長)が自身の体験をもとに説明いたします。そして、エグモントとリース遠征隊についての紹介が終わったのちにリース遠征隊の上映を行います。
約40分の映画上映後、リース遠征隊とのトークセッションを行い、ヤコブ・リースの思い・考えを聞いたり、リース遠征隊に日本人参加者から質問をなげかけ、デンマークの福祉、障害者の責任感とチャレンジ精神、障害者とそれを支える仲間・家族との関係性、などなどデンマークと日本の異なる考え方、制度を知る貴重な機会を得られます。
上映&講演会の会場
焼津市総合福祉会館「ウェルシップやいづ」
静岡県焼津市 大覚寺三丁目2番地の2
会場
来日するリース遠征隊メンバー
2008年15歳の若さで急速に進行する脳萎縮性の疾患、マチャド・ジョセフ病と診断される。それまでは、プロのサッカー選手を夢見る、活動的でごく一般的な少年だった。診断から6年経過した遠征時には、車椅子で生活し、発話やえん下障がいもあり終日介助が必要となる。それでもヤコブは前向きで、人生に対し熱意を持ち続け、筋力や体力維持のためのトレーニングを積極的に努める。特にアウトドアに情熱を注ぎ、自然の中で過ごす事で肉体的・精神的な挑戦を続け、それを誇りとしている。学校のアドベンチャーコースで学ぶ事で、ガルフピッゲン山登頂の夢へと繋がった。 エグモントホイスコーレン在学中は、学生ヘルパーとしてヤコブ・リースの介助をしていた。その後、アシスタント教員となり、主にアドベンチャークラス、クライミングクラスを受け持つ。リース遠征隊後、約半年ほどヤコブとアジアを旅する。現在は、ヤコブのパーソナルヘルパーとして仕事をしている。とにかくアウトドア、自然の中でのアクテビティが好き。また日本食も好きで、寿司や餃子、お好み焼きを家で作ることも。 高校卒業後、ビデオ編集関係の会社、レコード会社、デンマークのテレビ会社で働く。エグモントホイスコーレン在学中はアドベンチャーラインを選択し、卒業後は仲間と共に海外を駆け巡る。趣味はサッカーで、特にフットサルに時間を費やす。夢はいつの日か起業すること。 現在、オーフス大学で政治学を学んでいるが、とても充実した大学生活を送っている。大学に入る前は、エグモント在学中に出会った仲間と共に世界を駆け巡り自然、そして異なった文化に触れる。学業の傍ら、アウトドア用品を販売する仕事にも携わっている。 エグモントで2度のヘルパー学生を経験。アウトドアが好きで、教育もアウトドア系の学校に進む。特にカヤックとスキーに力を注ぐ。登山など、これまでに多くの経験を積んでおり、現在もノルウェーの大自然の中サバイバルを行っている。すでにアウトドアインストラクターの資格を持ち、このサマーキャンプで経験を生かせることを楽しみにしている。 医療事務の仕事をしたのち、現在は看護師になるための学校に通う。旅行が好きで、将来的には仕事と旅を両立させたい。2018年に看護師となる予定。余暇は、クライミングとマウンテンバイクに時間を費やす。他のリース遠征隊メンバー同様、エグモントホイスコーレン在学経験あり。 フリーランスカメラマン。メディアスクールに通いながら、デンマークのテレビ局DRにて撮影、編集などの作業も行う。趣味は映画、音楽、芸術など。またアウトドア活動も盛んに行う。
昨年のリース遠征隊日本上映でも来日。サマーキャンプでもドキュメンタリーを撮りたいと意気込んでいる。ヤコブ・リース 24歳 リース遠征隊・隊長
アーネ・マチアセン 24歳 リース遠征隊メンバー
デニス・ハンセン 26歳 リース遠征隊メンバー
マス・ルターヴェルト 22歳 リース遠征隊メンバー
イェッペ・ニールセン 27歳 リース遠征隊メンバー
ニコライ・ロスバック 24歳 リース遠征隊メンバー
マティアス・クロック 24歳 リース遠征隊撮影メンバー